1.使われ方の変化
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木材の利用が他の物質に代替されたものの代表は、薪・炭です。戦前のわが国の家庭用燃料はこの薪と木炭が主で、木材需要の半分以上を占めていました。
薪炭は暖房用、炊事用として各家庭で利用されていましたが、生活水準の向上に伴い、石油、ガス、電気などの使いやすいものに代替されていきました。
木炭の原料にはカシ、ナラ、クヌギ等の広葉樹が使われていましたが、その生産量も大幅に減少(昭和30年208万トン、昭和45年17万トン、平成3年3万トン)しました。一方、最近では多孔質で吸着性の高い木炭の性質から水質浄化、冷蔵庫の脱臭、炊飯改良剤などの新しい用途の広がりや、高級料理、茶道等に利用される備長炭が伸びていますが、これらの生産量も微々たるものとなっています。
置き換えの例
建築関係
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足場丸太、天板 → 鋼材
外壁材 ────→ 鋼材、セメント材、窯材系(セラミックス)
建具 ─────→ 金属、プラスチック製品
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その他
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杭丸太、電柱 ─→ PSコンクリート(*)
船舶、車両 ──→ 金属、プラスチック
風呂桶、樽類 ─→ 金属、プラスチック
楽器スポーツ用具→ 金属、プラスチック
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2.新たな木材加工製品
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新たな木材加工製品の例は,材料として合板、集成材、削片板(パーティクルボード)などが住宅、家具、教材用など多種多様に利用されています。
特に一般住宅では従来、木材(丸太)を角状あるいは板状に加工した製材を使用していたものがほとんどでしたが、昨今では壁・床・屋根などの下地材に合板を、内装材としての柱、敷居、鴨居、壁、床、天井などにも美観を目的とした各種加工の施された合板、集成材などが利用されています。
家具にあっても合板、集成材の表面を塗装または銘木単板を貼った製品が主流になってきています。
これは貴重な限りある資源をより合理的・効果的に使う、あるいは大径材、良材が少ない中で、木材の性質を損なうことなく欠点を補う意味で開発された改良木材です。
これらの製品は乾燥や接着など工業的な処理がされるため、品質管理の徹底した工場で生産が行われています。
木材の利用は生活水準とともに高度化し、製材に加え、合板、集成材、削片板などの他にも薬品処理材、LVL(単板積層材または平行張り合板)、フローリングなど品質、性能の優れた木材工業製品が規格(JAS)化され、私たちの暮らしの中に大きな力として息づいています。
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(*)PSコンクリート(プレストレスコンクリート)
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特殊な製法により、小さな断面で大きな外力に耐えられるようにした鉄筋コンクリート。
製法としては、あらかじめ鋼線を強く引っ張る状態でコンクリートを打ち込むプレテンション方式と、硬化させたコンクリートの穴に鋼線を通して強く引っ張り、すき間を埋めるポストテンション方式とがあります。
製品は高層ビルの梁、桁や橋桁(はしげた)、鉄道の枕木などに用いられます。
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「大きな目小さな目」(全国版)(農林水産消費技術センター広報誌)1994年9月 第17号
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