木材と水分(1) |
木材すなわち木は、生物です。生物である以上、多量の水分を含んでいます。木材となっても、水分の放出・吸収によって、大気中の温度や湿度に応じた水分を含んだ状態になります。これが、「木材は生きている。」と言われるゆえんです。そして、木材と水の関係は、必ずしも私たちにとって都合の良いことばかりとは限りません。木材を使用する際は、木と水分の関係を理解し上手に利用したいものです。今回は3回シリーズで、木材の中に含まれる水について注目してみました。 |
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1.木の中で水分はどうなっているの? / 2.木にはどれくらいの水分がふくまれているの?
/ 3.どうして木の含水率は100%を超えるの? |
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1.木の中で水分はどうなっているの? | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
木材(生木)が保持している水分は、細胞の内腔や細胞壁の間隙にある水(自由水)と、細胞壁中に含まれ材の主要構成成分である多糖類等と二次的に結合している水(結合水)に大別されます。
生木を乾燥すると、まず自由水が蒸発して消失します。ついで、結合水の蒸発が起こり減少します。これは、大気中に放置しておいた場合も同様です。さらに、人工的に乾燥すると、最後には水分を全く含まなくなります。 a) 生材(なまざい) 結合水が飽和状態で、自由水も含まれている状態の木材です。すなわち、伐採後、乾燥されていない状態の木材です。 b) 繊維飽和点 生材を乾燥する過程で、結合水が飽和状態で、自由水が存在しない状態です(含水率は主要な樹種によらずおよそ28〜30%)。 c) 気乾材 生材を大気中に放置すると、やがて大気中の温度や湿度に応じ、一定の含水率になります。この状態の木材です(日本では樹種によらず含水率は約15%)。 d) 全乾材 100〜105℃で乾燥し重量が変わらなくなった状態の木材です。すなわち、自由水も結合水も全部なくなった含水率0%の木材です。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2.木にはどれくらい水分が含まれているの? | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
生材は、多量の水分を含んでいます。その水分の量は、樹種、木の周辺部(辺材)と中心(心材)、幹の位置、生育環境、季節などによってかなり変化します。
一般に次のようにいわれています。
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3.どうして木の含水率は100%を超えるの? | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
含水率は水分を全く含まない木材に、どれだけ水分が含まれているかを示したもので、木によっては生木の時にかなりの水分をその中に含んでいるので100%を超えるものがあるのです。
含水率は、次式によって求められます。 含水率(%)= (木材の乾燥前の重量−全乾材の重量)×100 全乾材の重量 JAS規格に規定される合板・集成材・製材などの含水率もこれが用いられています。 では、この式を用いて実際に計算してみましょう。例として、重さ1.2Kgのスギの角材を重量が変わらなくなるまで乾燥させ、全乾材重量で550gになった場合、計算してみると含水率は118%になり、含水率は100%を超えることになるのです。 木材に含まれる水分は、その木材の重量と含水率がわかれば、含水率の算出方法によって容易に推定することができます。 たとえば、4寸角のヒノキ柱(12cm×12cm×4m)の重さ25Kg・含水率30%の場合、含水率を求める式の乾燥前の重量に25Kgを、含水率に30%をそれぞれ代入して全乾材の重量を算出し、乾燥前の重量と全乾材の重量との差から水分を求められます。この場合、ヒノキ4寸柱には、約5.8Kgの水分、すなわち2リットルのペットボトル3本弱の水が含まれていることになります。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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「大きな目小さな目」(全国版)(農林水産消費技術センター広報誌)1998年1月 第37号 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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