1 単板積層材とは
|
|
単板積層材とは,単板(Veneer:ベニヤ)を主として繊維方向を平行に
積層接着したもの(図1参照)で,LVL(Laminated Veneer Lumber)
とも呼ばれ
ています。単板を互い違いに直交させて積層接着した合板が各方向の強度の
バランスや寸法安定性の良い平面材料であるのに対し,単板積層材は主に
長さ方向の強度に優れた材料です。
|
|
|
2 LVLの特徴
|
|
LVLには以下に示すような特徴があります。
(1) 品質のバラツキが小さく,寸法安定性,強度の信頼性な
どが非常に高い。
単板の時点で,丸太の低品質部や大きな欠点部を除去するこ
とができ,十分乾燥されたのちに積層接着されるので,製品と
なったLVLは寸法安定性に優れており,割れや狂いによるト
ラブルの発生が少なくなります。
また積層の効果により,節などの欠点部を含めて天然の木材
がもつ品質のバラツキが分散されるので,強度性能をはじめ品
質が均等で信頼性の高い製品が製造可能です。
(2) 用途に応じていろいろな寸法の製品を供給できます。
単板の積層数を増減したり,単板を長さ方向につないで積層するこ
とにより,小径木や短い丸太などからでも,厚さや長さなど,用途に
応じたいろいろな寸法・形状の製品が製造可能です。
(3) 防虫・防腐・防火などの処理ができます。
薬剤を単板の時点で塗布したり,接着剤に混入することにより,
防虫・防腐・防火の処理が容易に行えます。
|
|
|
|
|
|
3 LVLの種類
|
|
JAS規格では,構造用のものとそれ以外のものを別の規格にしています。
その概要と主な用途を次ページの表に記載しました。
|
|
|
4 品質の基準
|
|
造作用など非耐力部材を対象とした単板積層材のJAS規格では外観の品質
に重点をおいた基準が,また耐力部材を対象とした構造用単板積層材のJAS規格では
強度性能に重点をおいた基準が設定されています。 各々用途に応じて要求される品質
性能として,接着の程度,含水率,寸法精度やホルムアルデヒド放散量(Fc0,Fc1又
はFc2の表示をする場合)などについての基準のほか,単板積層材の規格には表面の品
質(化粧加工を施さないも のにあっては,1等から2等の等級があります)や防虫処
理(防虫処理を施した旨の表示をする場合)などの基準が,構造用単板積層材の規格に
は特級から2級の強度等級別に,積層する単板の品質や積層方法などの基準が定められ
ており,強度性能などに関しては曲げ試験と水平せん断試験が規定されています。
|
|
|
表 単板積層材および構造用単板積層材の概要および主な用途
種類 | 概要 | 主な用途 |
単板積層材 |
主として非構造用途のものをいい,表面に化粧加工したものとしないもの
の2種類があります。加工を施したものには天然木化粧加工と塗装加工をした
ものがあります。
|
建材用としては,ドア,窓枠などの建具用,マンションなど間仕切り下地材,
階段部材,造作材や家具などの芯材などの他,接着層のモザイク模様を活かした
表面材料などとしても利用されています。
|
構造用単板 積層材 |
主として構造物の耐力部材として用いられるものをいいます。
|
木造建築物の構造用耐力部材として,梁,まぐさ※,柱,筋かい,根太など
に使用されています。
|
※まぐさ:門または出入口の扉の上に渡した横木のこと
|
|
|
5 JASマークと表示例
|
|
(1)JASマーク
単板積層材および構造用単板積層材のJASマークは図2及び図3のとおりです。
単板積層材(造作用)の等級は表面の品質により1等または2等で表示されます。
ただし,表面に化粧加工を施したものには等級区分はありませんので等級が記載さ
れません。
構造用単板積層材の等級は強度性能などにより特級,1級または2級と表示されます。
|
|
図2 単板積層材(造作用)のJASマーク
|
図3 構造用単板積層材のJASマーク
|
|
(2)表示例
以下に表示例を記載しますが,商品の選択に便利なように,樹種名や寸法といった
製品の内容を示す事項を一括して表示することとその表示の方法が定められています。
このほか,構造用単板積層材では,曲げ性能などが適合基準の数値で表示されます
|
1 単板積層材
品名
寸法
製造業者 |
単板積層材
30×300×1800mm
○○県○○市○○町
○○(株) 工場
|
|
2 構造用単板積層材
品名
樹種名
寸法
曲げ性能
水平せん断性能
製造業者 |
構造用単板積層材(梁)
ベイマツ
40×350×2500mm
140E−525F
65V−55H
○○県○○市○○町
○○(株) 工場 |
|
|
|
|
6 利用の拡大が期待されています
|
|
LVLはわが国においても家具,建具,内装材,楽器などの造作用には古くか
ら利用されてきましたが,昭和60年代に北米から構造部材としての利用が紹介された
ことなどをきっかけに構造用LVLへの関心が高まり,構造用単板積層材のJAS規
格の制定を経て普及が進んできました。
造作用とともに構造用のLVLも,梁などの横架材を中心に,より信頼性の高い木質建材と
して利用の拡大が期待される製品です。
|
|
|
「大きな目小さな目」(全国版)
(農林水産消費技術センター広報誌)
2000年11月 第54号
|
|