ツーバイフォー(2×4)住宅

 わが国で一般的な木造住宅を建てる場合の工法としては、柱や梁などで家を支える軸組工法、壁や床などで家をささえるツーバイフォー工法などがあります。  近年、ツーバイフォー工法により建てられた住宅は、その優れた安全性、居住性などが認識され、建築数は年々増加しています。今回はツーバイフォー住宅についてのお話です。


ツーバイフォーの名前の由来 / ツーバイフォー工法の歴史 / ツーバイフォー住宅の特徴
/ ツーバイフォー住宅に使われる材料 / ツーバイフォー住宅の建築戸数



1.ツーバイフォーの名前の由来


 わが国では一般にツーバイフォー住宅と呼ばれていますが、 なぜこのように呼ばれているのでしょうか。  それはこの工法によって建てられる住宅の構造材に断面サイズが 2×4インチ(実際の寸法は水分の調整などにより38×89mm) の製材が最も多く使用されているからなのです。

 ただしこの呼び方は日本での通称であり、建築基準法等では 「枠組壁工法」と言い、北アメリカでは「プラットフォーム ・ウッド・フレーム・コンストラクション」と呼ばれています。



2.ツーバイフォー工法の歴史


 ツーバイフォー工法は北アメリカで生まれ育った工法で、 始まりは19世紀初めのアメリカ開拓史の時代と言われています。 原形となったのはバルーン工法(土台から2階まで通した柱に、 床、壁を取り付けてゆく工法)と呼ばれるものです。  日本にバルーン工法が伝わってきたのは明治の初めで、 北海道にある札幌時計台がこの工法で建てられています。

 その後、20世紀の初めからの合板の量産化に伴い、 バルーン工法に比べより合理的なプラットフォーム工法 と呼ばれるものに変わっていきました。

 この工法は図1のように、プラットフォームと呼ばれる 床枠組を基本としてその枠組に合わせて壁を立ち上げていく 工法で、まず下張り用床として組まれた床枠組の上でその階 の壁が組まれ、壁を起こしその上に次の階の床枠組を組んで いくというように、できあがった床を次の足場としながら効率 よく建てることができます。日本でツーバイフォー工法と呼 ばれているのは、この工法のことです。



3.ツーバイフォー住宅の特徴


 特徴としては、壁や床、天井が一体となって 組み立てられた箱形構造のため、外部からの力を各面に分散 させることから、住宅の強度が大きく、地震や台風に対して 強いことが、まずあげられます。最近では断面サイズが2×6 インチの製材を多く用い、強度を更に向上させた住宅も建設 されています。  また、構造材に2×4インチの規格化された製材を使用して いるため、安定した品質の製材が供給されます。さらに、壁組、 小屋組などは工場でできるため、工期は軸組工法に比べると短かくなります。

 さらに、壁や天井を石膏ボードで覆う構造で木材が表面に 現れないため、耐火性が高く、枠組材で密閉された空間を つくるため延焼しにくくなっています

 また、壁内に筋かいなどがないことから比較的容易に 断熱材を取り付けることができるので断熱性にも優れ、 さらに、使用する石膏ボードは熱容量が大きいため 、一度室内を暖めると温度は下がりにくくなっています。

 これらのメリットを持ったツーバイフォー住宅は 、基準に従い施工されることでその性能と品質を得る ことができますが、断熱材の取り付け方が悪かったり すると壁内に結露が発生しやすく、木材の腐朽や釘の 耐久性に影響を与え、住宅そのものの耐久性にも影響します。

 こうしたことのないようにツーバイフォー住宅を建てる 場合は実績、信頼のある施工業者に頼むことが大切です。



4.ツーバイフォー住宅に使われる材料


 ツーバイフォー住宅では安全性を確保するために、 使用する材料・部品の規格が決められ、枠組材、壁、 床及び屋根に用いる面材、釘の品質はそれぞれ日本農林規格 (JAS)または日本工業規格(JIS)に適合するものが使用されます。  木質材料のほとんどは、含水率19%以下の乾燥材を 使用していますので、施工後も狂いにくくなっています。 つまり、ツーバイフォー住宅は強度、品質ともに保証された 材料で建てられているのです。



5.ツーバイフォー住宅の建築戸数  の推移


 わが国でツーバイフォー工法が建築基準法で認められた のは昭和49年ですが、その後ツーバイフォー住宅は増加し、 平成8年の着工戸数は9万3千戸と10年前と比べると2倍以上 になっています。
 (参考文献 ツーバイフォー住宅百科、日本工業新聞社、1995)







「大きな目小さな目」(全国版)
(農林水産消費技術センター広報誌)
1997年5月 第33号


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