1.住まいの安全性
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−主に地震と火災に対して−
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住む者にとって住宅は安全であるということが第一の条件となるでしょう。
阪神・淡路大震災では木造住宅の耐震性が問題とされましたが、
現在の法律
に基づいてしっかり施工された木造住宅に関しては、他の構造の住宅と比較し
ても遜色のない程度であるということが様々な調査結果から分かってきました。
具体的には
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1.形
を単純にする(立体的にも平面的にも)
2.耐力壁の量と適切な配置
3.柱と土台、柱とはりといった構造的に重要な部分の接合には金具などを使用する
4.地盤に対して有効に働く基礎と、
土台の接合(その際土台が腐っていたの
では意味がないので、腐らないように薬剤処理を施すのが良い)
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という基本的な基準を守れば、木造住宅自体の軽さもあり、十分地震に耐える構造といえます。
火災に関しては、木は燃えると思われていますが外壁に不燃材料の使用が一般的となり、
内装材についても難燃性の材料が開発され、
ドアやサッシなどはむしろ木製の方が、
アルミや鉄製よりも持ちこたえる時間が長いと言われています。
また、
火災時の有毒ガスの発生量が他材料と比べると
少ないことも安全性の高さと見て
良いでしょう。
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2.住まいの快適性
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前段の安全性は住む者にとって必要不可欠の条件ではありますが、
住んでみて快適かどうかは、人それぞれの感じ方や、ライフスタイルによって
大きく違ってきます。
住宅に関して
住み心地が悪いと感じるのは、
建具の建てつけやすきま風といった気密性
に関する点が多いようです。確かに、空気の出入りが多ければ壁や床の断熱性をいくら
高めても無駄になってしまいます。
しかし、気密性も高ければよいというものでもなく、
息苦しさを感じない
程度の通気性が必要とされます。木造の住宅では、窓を閉め切った状態でも、
木の性質だけでなく壁の構造上からも適度な通気性を得ることができます。
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3.住宅の寿命
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住宅金融公庫の調査によれば、
木造住宅が建てられてから解体
されるまでの年数は、およそ25年という結果が出ています。
木造以外の住宅については、それより短い20年となっており、
現実には非木造住宅が木造住宅よりも短い年数で壊されています。
これらは、木造住宅の利点である
「部分的な修繕や改築の容易さ」
を反映した結果と考えられます。
木造住宅、非木造住宅のどちらにも共通するのは、耐久性25年、
20年といっても、これで住めなくなるというのではなく、
「使い勝手の悪さ」や「生活様式の変化」による機能面の低下が
大きな理由のようです。
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4.環境への役割
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木造住宅の資材である木材と、地球の環境問題とは密接な関係にある
ということをご存じの方も多いでしょう。
樹木は大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素化合物として固定するといった自然界
の重要な働きを担っており、その働きも老齢木よりは若齢木の方がより盛んです。
伐採後の樹木
は、新たに二酸化炭素を吸収する機能はないにしても、
燃やさなければ炭素を固定し続けます。
それ故に、住宅などに使用した木材はなるべく長く使い、
住宅としての役割を果たした後でもその加工のしやすさを利用
しリサイクルすることができます。
また、木材は再生可能な資源ですので、伐採後は再び植林を行い木を
育てるということが、二酸化炭素の増加を抑制し、環境保全につながることになります。
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5.最後に
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総理府の行った調査でも、住宅を持つ場合には約8割の方が木造住宅を
希望するという結果が出ています。
その理由も「通気性・保温性など居住性が良い」といった現実的なものから、
「昔から住み慣れている」、「木にはやさしさ・温かみがある」といった感覚的
なものまで多岐にわたっています。
古来から日本人が慣れ親しんできた、
木や木の家が与える精神的やすらぎは、
現代人に必要とされているものの一つと言えるのではないでしょうか。
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「大きな目小さな目」(全国版)
(農林水産消費技術センター広報誌)
1996年9月 第29号
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