1.食用キノコ
|
|
キノコの魅力は、何といっても食用になることです。優秀な食用菌で栽培可能
なキノコは、四季を問わず店先を飾っています。秋には、”キノコの王様”マツタケも店先
を飾ります。市販のエノキタケは、暗所で栽培されたエノキタケのモヤシであり、○○シメ
ジの商品名で市販されているものは、ヒラタケやブナシメジ等を栽培したものです。
栽培可能な食用キノコ
シイタケ・ナメコ・エノキタケ・ヒラタケ・ナラタケ・ブナシメジ・ムキタケ
・タモギタケ・キクラゲ・マイタケ・クリタケ・マッシュルームなど
栽培できない食用キノコ
マツタケ・シメジ・ハツタケ・タマゴタケ・アミタケ・キシメジ・ヌメリイグチ・モミタケ
・クロカワ・ショウロ・ハナイグチ・コウタケ・チチタケ・ハタシメジ・ムラサキシ
メジ・ホウキタケ・アンズタケなど
|
|
|
2.食べ方の注意
|
|
食用キノコの中には、消化のよいキノコと悪いキノコがあります。
消化の悪いキノコは、食べ過ぎると消化不良を起こして下痢しかねません。花より
団子やデリケートな体質の御仁は、特に注意して下さい。
消化の悪いキノコ
ナラタケ・ナラタケモドキ・アミタケ・ヌメリイグチ・ハナイグチなど
消化のよいキノコ
マツタケ・シメジ・シイタケ・マイタケ・ハタシメジ・キシメジ
・ムラサキシメジなど
もう一つの注意事項は、バクサレ形(自壊作用を始めた腐れ一歩手前のもの)
のキノコを口にしないことです。老熟したキノコは、雑菌の絶好の培地で、
有毒細菌の二次寄生が予想されます。
|
|
|
3.キノコ調理の注意
|
|
キノコには、どんな料理にも合うものと、限られた料理にしか向かないもの
があります。また、苦味や辛味のあるもの、食用期間の短いものもあります。
どんな料理にも合うもの
マツタケ・シメジ・シイタケ・マイタケ・ヒラ
タケ・ショウゲンジ・ヤナギマツタケなど
限られた料理にしか向かないもの
コウタケ・クロカワ・ニンギョウタケ・
ジョウゴハリタケ・ヌメリアイタケ・アシグロタケなど
苦味のあるもの
クロカワ・キシメジ・シロシメジ・ヌメリアイタ
ケ・アカアザタケ・ヤマブシタケなど
辛味のあるもの
組織自体に辛味のあるベニタケ属とキノコの出す
乳液に辛味を含むチチタケ属
食用期間の短いもの
ヒトヨタケ・ササクレヒトヨタケ・キツネノチ
ャブクロ・オニフスベ・ノウタケなど
ワンポイントアドバイス
|
・香りを尊ぶキノコは淡泊に調理する
(シメジ・マツタケ・マイタケなど)
・持ち味に力がないか、逆にクセの強いものはたっぷり油を使って調理する
(ニンギョウタケ・マスタケ・アイタケなど)
・焼くと苦味が消える(クロカワなど)
・縦に裂いて水にさらすと苦味が消える
(キシメジなど)
・塩蔵は苦味抜きと貯蔵の一石二鳥
・甘味をきかせて煮つける(サクラシメジなど)
・苦味のあるものは酢を使って仕上げる
・乳液に辛味を含むものは細かく刻んで水にさらす
・辛味のあるものは高温で油で炒める
(注)マーガリンやバターでは効果なし
|
|
|
|
4.キノコ料理いろいろ
|
|
キノコ料理は、和風・洋風・中華風のいずれかの料理法をベース
にした応用料理です。上手なキノコ料理とは、キノコの持ち味を生かした料理で
す。キノコの持ち味は、千差万別です。したがって、料理法による適不適は、当然
でてきます。
そこで、キノコそれぞれが持つ基本的な味・匂い・口あたりなどでグループ分けす
ると、相性のよい料理を捜すのに役立ちます。
持ち味によるグループ分け
A:形がしっかりしていて歯ごたえがあり、さっぱりした味のキノコ
|
(シメジ・ヒラタケ・マイタケ・ホウキタケ・クリタケなど)
|
B:ヌメリがあるものや調理するとヌメリが出るキノコ
|
(ナメコ・エノコタケ・アミタケ・ヌメリイグチ・ナラタケなど)
|
C:香の強いものや味に多少クセのあるキノコ
|
(マツタケ・シイタケ・クロカワ・コウタケ・ブナハリタケなど)
|
D:肉質がボソボソ・コリコリ・シコシコする口当たりのキノコ
|
(ハツタケ・キクラゲ・マスタケ・ショウロ・アカモミタケなど)
|
|
|
|
5.キノコの保存法
|
|
キノコがたくさん採れて食べきれないときは、昔からの生活の知恵を使って
保存しておきましょう。保存法には、乾燥法・塩蔵法・冷凍法の三つがあります。
乾燥法
|
処理法は、自然乾燥と、火力または冷蔵庫を使用する人工的な乾燥方法があ
ります。自然乾燥の場合は、風通しのよい所で、直射日光を利用すれば効果的
です。火力を使う場合は、弱火の遠火で、焦がさないように時間をかけて乾か
します。冷蔵庫を利用する場合は、そのまま入れておくと、多少日数はかかり
ますが、比較的きれいに乾燥できます。
|
塩蔵法(塩漬け)
|
基本的には、山菜を漬けるのと同じで、さっと熱湯に通したキノコを
水切りし、塩を敷いた器の上にキノコと塩を交互に重ね、落としぶたと重
石をします。大切なポイントは、器の底に塩が残るよう多めに塩を使用す
ることと、塩抜きをしてから調理することです。
|
冷凍法
|
茹でたキノコを冷まし、少量ずつポリ袋などに入れて冷凍します。このとき、
茹で汁ごと冷凍しておくと、そのままだし汁として使えて便利です。
(マツタケやエノキタケは、生のままでもOK)
|
|
|
|
|
| A | B | C | D |
和食 | 味噌汁・すまし汁 | ○ |
◎ | △ |
△ |
炊き込みご飯 | ◎ |
△ | ◎ | ◎ |
酢の物・和え物 | ○ | ◎ | ○ |
△ |
煮物 | ◎ | △ | ○ | ◎ |
てんぷら・フライ | ○ | △ |
◎ | ◎ |
油炒め | ◎ | △ | ◎ |
○ |
鍋物・雑炊 | ◎ | ◎ | ◎ |
△ |
洋食 | スープ | ○ | ○ |
△ | ○ |
ソース・煮込み | ◎ | ○ | △ |
◎ |
ピクルス・マリネ | ◎ | ◎ |
△ | ○ |
ピラフ | ○ | × | △ |
◎ |
コロッケ | ○ | △ | △ |
◎ |
グラタン・ピザ | ◎ | ◎ | ○ |
△ |
中華風 | スープ | ○ | ○ | ○
| ◎ |
チャーハン | ○ | × | △ | ○ |
油炒め | ◎ | △ | ○ | ◎ |
あんかけ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ |
ギョウザ・シュウマイ | △ | × | △ |
○ |
野外 | 塩焼き・ホイル焼き | ○ | ×
| ◎ | ○ |
味噌焼き・たれ焼き | ○ | × | ◎ | ◎ |
さっと茹でて刺身風 | ○ | ○ | × | × |
|
|
|
「大きな目小さな目」(全国版)
(農林水産消費技術センター広報誌)
1995年11月 第24号
|
|