1.結露
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冷えた飲み物を注いだコップに細かい水滴がつくことがあります。
これが結露です。冷えたコップが回りの空気を冷やし、露点以下になると
空気中の水蒸気が飽和して、水滴となってコップにつくわけです。
住まいの結露には表面結露と内部結露とがあります。表面結露とは、
室内の湿った空気が壁・天井・床・窓ガラス等の表面で露になる現象です。
内部結露とは、壁の構成あるいは施工方法の問題で、壁の中の目に触れな
い部分で結露が発生することです。
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2.結露の害
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結露の害には、家具や建具の膨潤、床の滑りなどの軽微なものからカビ
・ダニの発生、腐朽菌による構造材の損壊など深刻なものまであります。
(1)カビ
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カビは菌の一種で糸状菌ともいわれ、増殖の過程で膨大な数の胞子を
空気中に飛散させるものがあります。カビの成育には、酸素と水と栄養
が必要です。酸素は空気中に豊富にありますし、栄養分もチリ、ほこり、
食べかすなど十分にあり、水分さえ確保できれば、どんな場所にも発生します。
カビが分泌する色素には赤、黒、青、白などがあり、極めて安定な
物質であるため、深く浸透してなかなか落ちません。飛散した胞子は
ぜん息、アレルギー、肝障害などの病気の原因にもなります。
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(2)ダニ
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ダニの種類にはイエダニ、ツメダニ、ヒョウダニ、コナダニなどが
あります。カビと同様に3つの要素がそろえば生息、繁殖します。
ただし、5℃以下の低温と40℃以上の高温条件下では繁殖力が低下
します。ダニもぜん息、アレルギー、鼻炎、結膜炎などの原因となります。
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(3)腐朽菌
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ナミダタケに代表される腐朽菌は、木材の主成分であるセルロース
やリグニンを栄養とするため、住宅の主要材料である木材を腐らせ、
耐久性を著しく損なうなど甚大な被害を及ぼします。20℃以下で
湿度が低くてもはえてくるものもありますが、一般的には高含水率
になりやすい住宅の土台回りが腐朽のおそれが高い場所といえます。
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3.結露の防止
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表面結露を防止するには、室内の湿度が上昇しないようにすること
と、表面温度の低い部分を作らないようにすることです。室内における表面温度の
低い場所は、主として外気に面した壁や屋根の室内側表面で、これらの壁や屋根を
十分に断熱することが必要です。
そのほか、結露しやすい表面を水を吸いやすい材料で仕上げるという方法があり
ます。結露が長時間続く場合には役に立ちませんが、結露発生が間欠的であれば、
吸い込んだ水分は乾燥時に蒸発して、平均的には結露がなくその害も発生しません。
また、冬季に発生することが多い内部結露を防止するには、室内空気の水蒸気濃
度が高くなっているので、この水蒸気が壁、壁の中、あるいは天井裏などに侵入し
ないようにすることが最も大切です。
〈結露防止のポイント〉
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洗濯物はなるべく室内に干さない
浴室を使用した後は中の換気を十分に行うまでは戸を開けたままにしておかない
一日に一回は窓を開けて換気を行う
料理などをして湯気が出るようなときには換気扇を回す
裏の壁が屋外に接している押し入れの中は温度が低くなりがちなので、押し入れを
閉め切らないように時々戸を開け暖かかい空気を入れてやる。
また、市販の除湿剤を用いたり、すのこを敷いて換気をはかる
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4.さいごに
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木製品には本来空気中の水分が多いと吸い込んで、
乾燥時に放出する機能があります。ところが最近家の中の家具や建具が
プラスチックや金属製品等に変わってきたためその効果も十分発揮する
ことができなくなってきています。
しかし、3の結露の防止で記したようにちょっとした工夫で、家の中
の湿気を調整できます。特に冬季は家の中で暖房器具を使用することが
多く、結露が発生しやすくなりますから、適度な部屋の換気を行うこと
をおすすめします。
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用語解説
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露点:
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大気中の物体が冷えて、その表に面に水蒸気が露となって
つきはじめるときの温度(↑本文)
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飽和:
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一定条件においてある媒体が他の物質を十分に収容し、それ以上
受け入れることの出来なくなった限界の状態。(↑本文)
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セルロース:
リグニン:
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セルロース、ヘミセルロースとともに木材を構成する3要素の一つ。
木材中に約20〜30%存在しており、これによって細胞は木化し、硬くなる(↑本文)
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「大きな目小さな目」(全国版)
(農林水産消費技術センター広報誌)
1996年1月 第25号
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