1.合板の種類
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合板の区分の仕方にはいろいろな方法がありますが、JAS規格では、大きく普通合板と特殊合板に区分されます。
普通合板のなかで一般的に使用されるものには次のものがあります。
・普通合板
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普通の一般的用途に広く使われ、ラワン、シナなどの広葉樹が主流。
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・コンクリート型枠用合板
・構造用合板
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2×4(ツーバイフォー)住宅等の建築物の構造用耐力部材(天井、壁、床)として用いられます。
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その他、難燃合板、防炎合板、防火戸用合板、足場板用合板、パレット用合板などがあります。
特殊合板は、普通合板の表面に優良天然木を貼った天然木化粧合板と木目や抽象柄をプリント加工、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂・塩化ビニル樹脂等の合成樹脂をオーバーレイ加工、又は塗装等を施した特殊加工化粧合板があります。
これらは、美しい木目や色等、化粧的な要素を有するとともに、表面材料により、摩耗性、耐薬品性、退色性等の性能を高めることができます。
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2.合板の特徴
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合板は、天然の木材を加工して生産されることによって、天然の木材の良さを活かしながら天然の木材に比べて以下の長所を持っています。
・広い面積の板が得やすい。
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製材品で幅の広い板を得るためには大径の原木が必要ですが、原料の入手が困難であり、価格も高くなります。しかし、合板では比較的安い価格で幅の広い板が生産できます。
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・天然の木材が持つ強度を低下させる節、入り皮、腐れ等を取り除く(又は分散させる)ことができます。
・木材の持つ異方性(繊維、板目、柾目方向)を小さくすることができます。
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天然の木材に比べ、反りやねじれが生じにくく、割れにくい板を生産できます。
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その他、接着剤の種類を変えて耐水性を変化させる。薬剤処理により難燃性、防炎性を高める。単板の構成を変えて強度を大きくするなど、使用場所を考えていろいろな種類の合板を製造することができます。
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3.合板の耐水性(接着性能)
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合板の製造には接着剤が使用され、その接着の強さは合板の重要な性能の一つで、JAS規格では耐水性により特類から3類までの4種類に分類されています。
特類は、屋外または常時湿潤の状態の場所で使用される合板で、フェノ−ル樹脂接着剤を使用しています。
1類は、長期間の外気及び湿潤露出に耐え、屋内の湿度の高い場所に使用される合板で、メラミン・ユリア共縮合樹脂接着剤を使用しています。
2類は、通常の外気や多少の湿潤露出に耐える合板ですが、屋外や常時湿潤している水回りの使用には適さず、内装及び家具等に使用されます。
3類は、少々濡れてもすぐに剥がれることがない程度の接着性能を有していますが、ほとんど流通していなく、特殊な用途に使用されています。
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4.合板とホルマリン臭
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合板に通常使われる接着剤には、ユリア樹脂、メラミン・ユリア共縮合樹脂、フェノール樹脂等があります。この接着剤の製造過程でホルムアルデヒドが使われるため、これが徐々に発散されます。これがいわゆるホルマリン臭の発生で、気温の高い時期や湿気の多い時期には特にその発生が促進されます。
ホルムアルデヒドは、無色の気体で刺激臭があります。人間の知覚状況には個人差がありますが、0.5ppmで臭気を感じ、5ppmで目、鼻、喉に強い刺激を感じ、10ppmを超えると咳や涙が出てきます。
現在、一部の合板には、ホルマリン吸着剤の使用やホルマリンを使わない接着剤の開発によりホルマリン臭の発生しない(又は少ない)ものが生産されています。ベビーダンス、食器棚、住宅内装用にはこのような合板を使用することが望まれます。
また、合板のJAS規格では、ホルムアルデヒドの放散量によって規定があり、その程度(少ないもの順)によりF1(ベビーダンス、食器棚用)、F2(住宅内装用)、F3(住宅内装用)に区分されています。
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5.単板
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単板には、生産方法の違いにより主に次の2種類があります。
(1)ロータリー単板
丸太の中心を軸にして回転し、ナイフで連続的に薄板を剥ぎ取る方法によるもので、我が国で生産される単板の90%以上を占めています。
(2)スライスド単板
角材などからナイフで薄板を平削する方法によるもので、美しい柾目や木目が生産され、合板や集成材の化粧単板として使用されます。
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「大きな目小さな目」(全国版)
(農林水産消費技術センター広報誌)
1994年11月 第18号
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